検索キーワード「昭豊」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示
検索キーワード「昭豊」に一致する投稿を関連性の高い順に表示しています。 日付順 すべての投稿を表示

2012年2月27日月曜日

青紙鋼鉋三丁の削り比べ


製作中の平家琵琶の腹板(表板)の
厚みを仕上げ、目(半月)と陰月を
開けようと思いましたが
陰月を開けるには撥(バチ)が必要
ということに気付き、予定変更
まず、寝かせていた撥用のツゲ材を
荒削りしました
これはいい機会だから
先日手に入れた初代・佐野勝二作
昭豊銘の鉋と同じような鋼(古い安来鋼・青紙)
打たれた初代・金井鉋と二代・永弘鉋
三丁で削り比べをやってみました


まず使ったのは昭豊・寸八
この画像は、かなり削った後の状態で
切れはやや重くなっています


刃先はかなり摩耗していますが
削り肌は気になるほど荒れていません
画像の板の下にある節が
他にも3ヶ所あるのですが
これを削っても刃先は変化はありません
強靭な刃で、しかも永切れします


画像向かって右側が節を削った箇所ですが
この部分に目立った変化はなく
全体に同じように摩耗しています


次に使ったのは二代・永弘の寸八
この画像も昭豊と同様の使い方をした状態です
昭豊と同様切れはやや重くなっています


節で刃先が欠けたようで
削り肌に筋が付いています


刃の向かって右側の
節を削ったところが顕著に摩耗しています
昭豊よりは強靭さが足りない感じです


そして最後に初代・金井の寸八を使いました
節を削ったら、刃先がすぐに毀れましたが
刃先が摩耗しても切れは軽いです


節でやられた刃先で
目立った筋が付きました


節を削ったところが、ひどくやられています

以上、削り比べをやってみましたが
刃先の強靭さは昭豊が優れており
切れの軽さは初代・金井が突出しています


2014年1月12日日曜日

千代鶴銘寸八と昭豊銘寸八鉋 削り比べ

佐野勝二と思われる千代鶴銘寸八鉋と
佐野勝二作・昭豊銘寸八を使って削り比べをやってみました
削った材は堅めで深い杢のCurly Mapleカーリー・メープル
通常の鉋でしたらすぐに刃先が磨耗するガンコな材です
これをできるだけ厚く削って逆目を止めるという
通常の仕事で使うやり方で削ってみようと思います
動画で最初に使ったのは右の昭豊銘・寸八










こちらは昭豊銘・寸八
薄板削り用として砥いでいたので
やや削り幅が狭くなっています


削り肌に艶があり、逆目もきれいに止まっています


刃先はほとんど変化はありません
左端の刃先が白いのは砥ぎが不十分なためです



こちらは千代鶴銘・寸八
動画の音からも判断できると思いますが
昭豊銘よりは削りに粘りがある感じです


こちらも艶のある削り肌で、逆目も止まっています


刃先も変化なく、かなり強靭な刃です
佐野勝二作と言っても過言ではないでしょう


2014年11月13日木曜日

小熊寅三郎鉋と佐野勝二鉋削り比べ YouTube動画の画像

以下紹介する画像もYouTubeにUPしたもので
画像紹介を忘れていたもの
新潟与板の鉋鍛冶、故・小熊寅三郎作「羅生門」銘寸八と
東京鉋の名工、故・佐野勝二作「昭豊」銘寸八とで
削り比べを行ったもの
鋼はどちらも昔の安来鋼・青紙と思われます
羅生門銘・寸八
これは若狭砥を採掘している天然砥石尚さんから
お世話になったもので、昔の職人さんによって
使われていたものです
台も全体に汚れていたので鉋をかけて
汚れを取り除きました


刃口の赤樫の埋木も緩くなっていたので補修




裏出し・裏押しの後、研ぎ上げた状態


鎬面は刃先から2mmほどを約28度で研ぎ直しました


天然砥石尚さんからお世話になったので
敬意を表して若狭・田村砥で最終仕上げを行いました
これは、以前紹介した黒い筋が全く当たらない不思議な仕上砥




研ぎ上がりの状態から
鋼はかなり強靭そうな印象を受けます


動画撮影前の状態


動画撮影後の状態
右は佐野勝二作「昭豊」銘・寸八




動画では強烈な逆目と深い杢の入った
Walnutウォルナット材を削ってみました
これは羅生門・寸八


昭豊銘・寸八


動画撮影後の刃先の状態
羅生門・寸八はほとんど変化はありません


こちらは昭豊・寸八
きれは止んでいませんが、刃先が白く磨耗しています
佐野勝二作「昭豊」寸八は手持ちの鉋の中では
ハイスや超特殊鋼を除いて、トップクラスの
強靭さを誇っていたのですが(参照
小熊寅三郎作「羅生門」寸八に軽くいなされてしまいました
驚きました・・脱帽・・

2014年1月11日土曜日

佐野勝二作と思われる千代鶴銘鉋の台を修復

台もかなり使い込まれて悪い状態ですが
何とか修復してみました




台頭は金槌で叩かれグサグサの状態なので




5mmほど切り落としました


木口の割れやヒビを瞬間接着剤で補修


全体に鉋をかけ汚れを除去


虫食いの痕もついでに補修


押金(裏金)の押さえ棒も新しくしました(釘を使用)


刃口を狭くし、木っ端返しをもう少し厚くするため
樫材の薄板を瞬間接着剤で貼り付けました
埋木をしなくても、これで充分いけます


出来上がりました
台は尻も5mmほど切り落としたので
全体で1cm短くなりましたが
まだまだ充分な長さがあります(約32cm)
右は同じ佐野勝二作の昭豊銘寸八






刃口はできるだけ狭い方が逆目を止めやすくなります


身の仕込みはどちらも八分勾配くらいですね


はがねと地鉄じがねの鍛接の様子
上が千代鶴銘寸八で下は昭豊銘寸八
刃先はどちらも試し削りを行った後の状態です


地鉄の銑で削られた跡や
身の厚み具合などよく似た感じです
右が千代鶴銘寸八で左は昭豊銘寸八