2013年4月19日金曜日

Lacoteラコート・タイプの指板


製作中の2台のLacoteラコート・タイプの1台は
指板をスキャロップscallop仕上げにします
以前、荒削りの動画をUPしておりますので参照下さい


四方反り鉋で荒削りをした後
外丸ヤスリとサンドペーパーで仕上げます



ヤスリかけを終えた状態
この後3種類のサンドペーパーで仕上げます


2013年4月15日月曜日

古い会津鉋 重房二種


古い会津鉋 「重房」銘寸八(身幅約70mm)を手に入れました
銘振りからかなり古い重房と思われます

裏押しをやり直し

刃角度約27度に研ぎ上げました


研ぎ上げた刃先の状態
緻密に美しく仕上がっています
炭素鋼ですが、焼きがよく入っています
ここまで焼きが入っていて刃先が緻密に研ぎ上がるというのは
玉鋼ではあまり見られません・・
安来鋼はまだ無い時代なので
どのような鋼が使われたのか知りたいところであります

以前手に入れていた刻印銘の重房寸六と
削り比べを行いました


切り銘重房寸八の削り痕
深い逆目も完全に止まって、艶のある美しい削り肌です

こちらは刻印銘重房寸六
逆目は止まっていますが
やや肌が荒れています

動画撮影後の切り銘寸八の刃先
刃角度は約27度

ほとんど変化はありません

こちらは刻印銘寸六
刃先から1mmほどを刃角度約27度に研いでいます

画像では分かりにくいですが
こちらは刃先が摩耗しています
これくらいの削りで刃先が摩耗していては
仕事では使えません・・

動画では、身の収まりが緩すぎ
刃の出しと押え金の調整に苦労したので
台の押え溝を補修し、身が「きつく」収まるように
調整をやり直しました
裏金の差し込みもやや固くしました


これで削り肌に艶が出ました
身の収まり具合と押え金の圧力の影響が
削り肌にも及ぶということを再認識しました

刻印銘重房寸六はやはり焼きが甘すぎるので
焼き入れをやり直すことにしました

ついでに、同様に焼きが甘すぎる
重利銘二寸鉋身もやってみます

ということで、決行
焼き入れの動画は以前UPしておりますので

ただ今焼き戻し中
今回は約160で1時間の設定をしています

焼き戻し後、研ぎ上げてみましたが
どちらも鋼が薄かったため、焼き入れ後の歪み修正で
刃先中央部の鋼が無くなってしまいました

重利二寸
刃先中央部の楕円で囲んだところが
鋼が無くなったところ

鋼部分の刃先の状態は良かっただけに残念です

こちらは重房寸六
のところが鋼が無くなっています

こちらも鋼部分は強靭になっていました

2013年4月14日日曜日

工房の様子


今日は製作中の2台のLacoteタイプに
フレットを打ち込みました




工房から300mほど南にある高城山は桜が満開です
手前に流れている篠山川の堤の桜はかなり散っています
昨日、飼い犬を連れていきました・・

3月にはタムシバの花が咲きます

2013年4月12日金曜日

鉋の裏金について


鉋の裏金(押さえ金)について
問い合わせがありましたので
ブログで説明しておこうと思います
そういうこともあり
2月に手に入れていた
2枚の「長光」銘寸八鉋身の
もう1枚を台に挿(す)
昨日切り抜いたミニハープ用の
響板を削ってみました
この材はフランスの
Epiceaエピセア(唐桧)
ということで手に入れたものですが
Cypresシープレス(糸杉)によく似た匂いと材質のものです
YouTubeに動画をUPしましたので参照ください



押え金をよく利かせたので
深い逆目も止まっています
この深い逆目を完全に止めるのは
一枚刃鉋では無理です・・

左は2月に紹介した
一枚刃で仕立てましたが
その後2枚刃にしました
右は今日台に挿げ
動画撮影したものです

今日仕立てたものは(画像左)
「三代目・千代鶴式押え金」を
使いました
右は薄めの裏金ですが
千代鶴式よりはやや厚めです

これは厚めの裏金

参考までに、これは
三代目・千代鶴(落合宇一作)の
「三水」銘の寸八です
裏金の押え棒は両端に
差し込んであるだけです
台は作り換えましたが
押え棒はそのまま使いました
三代目・千代鶴の
取り扱い説明書には
身や裏金の差し込みは
できるだけ緩くするように
説明されています
ですから裏金も極力薄くされ
長さも短めです
裏金で刃先を強く押えすぎると
悪影響が及ぶのは想像できます
ですから私も身と裏金の差し込みは
できるだけ緩くしています
(鉋かけの動画を参照ください)

因みに、これは身を挟んでいる
背の馴染(なじみ)
当たり具合です
一般的に「表馴染」と
呼ばれています
黒くなっている所が鉋身の背が
強く当たっているところです

鉋身の背が強く当たっている
ところが削り面に近いと
刃口部分が膨らみすぎ
削り面の調整がしづらくなり
押え溝の上部に当たり過ぎると
その部分から割れることがあるので
その部分を避けて
身が収まるように調整します

最後の微調整は上の画像に写っている荒目のヤスリを使っています 

身を収めたところ

さらに詳しく説明した
押金考も参照下さい

2013年4月11日木曜日

勘兵衛寸二鉋、貞時寸四、重則寸八鉋を使ってセドロ材を削る


きょう作った端材のオブジェ
これが出来上がるまでの過程を振り返ってみると・・

オブジェの素材は
9日にYouTubeにUPした削り比べの動画で削った
セドロ材(スパニッシュ・セダー)

使った鉋は右から明治頃の古い寸二鉋(身幅51mm)「勘兵衛」銘
中央は現代の名工・椛沢貞雄(かばさわさだお)氏作の
「貞時」銘寸四(身幅55mm)
左は仕上げに使った明治頃の古い寸四長台鉋
銘は判読できません

動画では「毛引き」の筋まで削りました


オブジェはこのセドロ材の塊りから切り出した
構造材の端材から作ったものです



これらを削った刃先
右が勘兵衛寸二で左が貞時寸四
刃角度はどちらも約27度
この角度では刃先の状態はよく分かりませんが

もう少し刃を傾けると
刃先の状態が確認できます
こちらは勘兵衛

そして貞時
どちらも同様にかなり摩耗しています
セドロ材にはミネラル分が含まれているのか
鉋の刃先がすぐに摩耗してしまいます