2011年7月12日火曜日

鉋身の焼き入れ


以前紹介した中惣銘の鉋
いま一つ強靭さに欠けるので
焼き入れと焼き戻しをやり直してみました
この鉋を鍛えた人には申し訳ないと思うのですが
私としては、なんとか仕事で使いたいし
これまでの経験から、以前の状態には
焼き入れをやり直すことで
より良くなる可能性を感じていたので
思い切って断行することにしました・・



 やってみて正解でした
以前見られた鋼と地鉄の鍛接部の
不安定さも改善されたように思います
研いだ感じも鋼に強靭さを感じます
画像の地鉄に見られるヒビは
以前からあったものなので
誤解のないように・・







ハードメープルを荒削りしてみましたが
切れ味よく、以前のような
鋼の弱さが改善されました





その後、樫の木の鉋台も削りましたが
軽く削ることができました





少々のことでは刃先はやられません
以前はソフトメープルを少し削っただけで
刃先が摩耗していたのです
これで思う存分仕事で使うことができます

2011年7月5日火曜日

古代インドの金属

東方出版から出されている
Debiprasad Chattopadhyaya 著
佐藤任(たもつ)
「古代インドの科学と技術の歴史Ⅰ」
から下の表を引用しておきます

インドの各古代遺跡から出土している
金属試料のスペクトル分析表です
黄銅鉱と青銅製の斧
それからモエンジョダロ遺跡の
槍の穂からモリブデンが検出されています





こちらは紀元前3000年頃の
シングブン遺跡から出土した金属の道具に
含まれている 成分分析表です
ここでもモリブデンが検出されていますが
これは人為的に加えられたものではなく
上の表の例も、もともと鉱石に
含まれていたものと解説されています

 

2011年7月4日月曜日

優れた仕上砥は共通したところがある


これは以前にも紹介したことのある
最近手に入れた中世中山砥ですが・・
参照




上の画像の左のもので研いだ鉋身
鋼は燕鋼です
  

 これは右の砥石で研いだもの
左のものより砥当たりはやや柔らかい感じです



この二枚の仕上砥は 
昔の職人さんが使っていたものですが
上の二種類とよく似ているのです


 研ぎ汁の色はやや違いますが
砥当たりは上の二枚とほぼ同じです


上の画像左の砥石で研いだ鉋身
これは上の画像と同じ鉋身です


こちらは右の砥石で研いだもの
鋼の研ぎ上がりはほぼ同じです

この二枚の仕上砥は
厚みが1cm以下まで使い込まれています
よほど気に入って使っていたものと思われます

以前、木工家の徳永さんの工房で
徳永さんの師匠である竹内碧外氏が使っていた
仕上砥を見せてもらったことがありますが
それも中世中山砥にそっくりな顔
そして研ぎ心地でした
それは5mmほどまで使い込まれていました

2011年7月3日日曜日

アジサイとアマガエル


今年も、アジサイが満開になった頃
カエルになったばかりの小さなアマガエルが
焼物のカエルのそばに寄って来ています・・




2011年7月2日土曜日

粉末ハイス鉋を人造中名倉で試し研ぎ


いま、人造中名倉「京東山」#2000を
いろいろと試しているのですが
この粉末ハイス鉋寸八は
鎬幅が3mmほどしかなく
すべて鋼部分なので
この部分を人造中名倉で研いでみました

研いでみてビックリ
鏡面に仕上がっているではないですか・・
ハイス鋼がこのように鏡面になるということは
天然砥石ではあり得ません


ちょっと拡大してみました
肉眼では見えなかった傷が見えてきました


さらに拡大してみました
傷が刃先まで達しているようです


 さらに拡大
やはり荒めの傷が刃先まで及んでいます


 それでは、と、先日紹介した
刃先だけを研いでみました
肉眼で見ると、かなり荒めに
曇っているように見えますが・・




 拡大してみると
大きな傷は確認できません