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2014年8月18日月曜日

中野武夫氏作 東郷鋼鉋 削り比べ 

まず、中野武夫氏作東郷鋼鉋
(寸三・身幅55mm)を
他の特殊鋼、安来鋼青紙スーパーと
燕鋼の寸三鉋と削り比べを
やってみました
左から東郷鋼寸三、青紙スーパー鋼寸三、燕鋼寸三


削った材はギター用材として
最も削りにくいものの筆頭
ホンジュラス・ローズウッド

粘りが強く強烈な逆目交じりの堅材
これを荒削りしてみました

動画で最初に使ったのは
中野武夫氏作東郷鋼・寸三

刃角度は約25度

動画撮影後の刃先の状態

次に使ったのは青紙スーパー鋼・寸三
一応、銘にモザイクをかけ作者は
伏せておきます

刃角度は約28度

動画撮影後の刃先の状態

最後に燕鋼・寸三
これも銘にモザイクをかけ作者は
伏せておきます

刃角度は約28度

動画撮影後の刃先の状態

鉋身の仕込み角度は
手前の東郷鋼と青紙スーパー鋼は
ほぼ八分勾配(約40度)
奥の燕鋼はほぼ九分勾配(約42度)
動画撮影後の刃先の状態は
3丁ともほぼ同様ですが
燕鋼は切れが止みかけています
東郷鋼と青紙スーパーはまだ切れていますが
切れが軽いのは東郷鋼の方です
削る音も東郷鋼は最も軽い感じがあります

次に中野武夫氏作東郷鋼鉋・寸三と
(身幅57mm、炭素鋼)とで
削り比べをやってみました

左が東郷鋼・寸三(刃角度約28度)
右は秀弘(炭素鋼)・寸三(刃角度約28度)


削った材は同じ
ホンジュラス・ローズウッドです
これは東郷鋼

動画撮影後の刃先の状態

これまで現代製の東郷鋼鉋を
いろいろと手に入れ、使ってみましたが
どれも仕事で使えるレベルでは
ありませんでした
しかし、この中野武夫氏のものは
これまで使った中では最も強靭で永切れします
充分仕事で使えます

こちらは秀弘寸三

動画撮影後の刃先の状態
こちらは東郷鋼よりも
やや刃持ちがいいような気がします
研いだ感じは東郷鋼よりも強靭で
研ぎ上げるのにやや苦労します

動画の削る音を聞いて頂くと
この秀弘鉋の方が鋭い感じが分かって
頂けると思います
やはり優れた炭素鋼は切れが軽く
しかも永切れし
ついつい手が伸びてしまうのです・・

2014年7月16日水曜日

義廣銘鉋を入手 削り比べ

新潟与板の刃物鍛冶職人である
中野武夫(武則)氏が義廣銘の鉋を鍛えておられる
ということを知った
以前手に入れた義廣銘・寸四が
特殊鋼が使われているということに
引っ掛かっていたのだが
中野氏の義廣銘には安来鋼・青紙が使われている
ということなので、もしかして手許の寸四・義廣は
中野氏一族のどなたかが鍛えたものではないかと
思った次第であります・・

後日、義廣銘寸四は新潟与板の
小熊寅三郎氏が鍛えたものということが判明しました

ということなので中野氏の義廣鉋(身幅48mmの小鉋)を
手に入れてみました


青紙付と刻印されています

こちらは以前手に入れていた特殊鋼の義廣銘・寸四
銘の刻印と紋は上の中野氏のものとは違いますが
刻印などはどうにでもなるものなので
あまり問題ではないでしょう・・

中野氏の義廣小鉋を研ぎ上げてみました

鋼の研ぎ感はそれほど強靭さはありませんが
程よい感じの粘りを感じました
裏出しも容易に出来たのでそれほどガチガチの
焼入れではないのでしょう
地鉄も美しいもので心地よく研ぐことが出来ました

せっかくなので、義廣・寸四と
特殊鋼の古い初弘(おそらく二代目)で
削り比べをやってみました


左から、中野氏作・義廣、義廣・寸四、初弘・寸六


中野氏作・義廣(身幅48mmの小鉋)
粘りが強く深い杢のMapleメープル材を削ると
鋼の違いがよく分かるのですが
この鉋は青紙鋼らしく、やや重い切れで
削る音が鈍い感じが動画でも分かります

動画撮影後の刃先の状態
これくらいの削りでは刃先はほとんど変化はありません
刃角度は約28度

これは義廣・寸六(特殊鋼)
削った台の大きさや刃の幅が違うので
比較は難しいところですが、手応えや削る音は
上の中野氏作・義廣と同様のものがあります

動画撮影後の刃先の状態
こちらもほとんど変化はありません
この鉋はこれまで他の鉋と何度か削り比べをやっていますが
刃先はかなり強靭で永切れします
刃角度は約28度

これは古い初弘鉋(参照下さい
鋼は昔の青紙と思われます
上の2丁と比べると削りはかなり軽く
削った音もかなり違います

これも刃先はほとんど変化はありません

動画撮影後
製作中の楽器の部材をいろいろと削りました



その後の刃先の状態
これは中野氏作・義廣小鉋
やや刃先が磨耗しています

義廣・寸四
これもほぼ同様の磨耗の仕方です

初弘・寸六
こちらも上の2丁と同様の感じです

その後、中野氏作・小鉋と義廣・寸六を
ほぼ同様の刃の出し方と削り量で
仕事で使ってみました

かなりの量を削りました

その後の刃先の状態
中野氏作・小鉋はかなり刃先が磨耗していますが
まだ切れは止んでいません

こちらは義廣・寸六
上の小鉋に比べるとやや磨耗は少ない感じですが
ほぼ同様の磨耗の仕方が確認できます
こちらもまだ切れは止んでいません

こうしてみると、中野武夫(武則)氏の鉋は
かなり優秀だと言えます
氏は問屋銘の鉋を多く鍛えられているようですが
氏が佐野勝二氏の後を継いで「兵部ひょうぶ」銘の
鉋を鍛えたりしているのは
この優秀さ故からかも、と想像されます
ですから、この特殊鋼の義廣・寸四も
中野一族のどなたかが鍛えた可能性もあるのかもしれません・・

後日、義廣銘寸四は新潟与板の
小熊寅三郎氏が鍛えたものということが判明しました

2014年8月16日土曜日

中野武夫氏作 東郷鋼鉋を研ぐ


昨日紹介した中野武夫氏作(武則二代目)
東郷鋼寸三鉋(身幅55mm)
届いた状態は台も刃もほとんどすぐ使える状態まで
高い精度で仕上げられていました

自分の道具として仕立て直した状態
研ぎ動画をYouTubeにUPしております

届いた状態がよかったので
裏はほんの少し研ぎ直しただけで済みました

動画で最初に使った中砥
沼田虎砥として売られていたものですが
一見、備水赤虎砥に見えます
縞の状態、色あい、研ぎ感などよく観察すると
備水赤虎とは違うので、一応 沼田虎砥としておきますが
他に同様のものを見たことがないので確信は持てません

参考までに、これは一般的な沼田虎砥
縞が部分的に入っているものです
他に紹介したものはこちらを参照下さい

これは本沼田砥(色物)
一般的な沼田砥の上の層だということで
早い時期に掘り尽くされたようです
この下の層が瓢箪沼田となり
その下の層が白い沼田砥となるそうです

このように沼田砥はどの層でも石質は緻密で
今回紹介したもののように気泡のようなものは見られません
販売されていたところでは
一般的な沼田砥とは違った場所で採掘されたもの
と説明されていました・・

さて閑話休題、最初の沼田虎砥に戻ります
硬口ですがよく反応し強い研磨力があります
粒度は#400程度

柔らかい地鉄じがねには粗く深い傷が付きますが
鋼には及ばず後の研ぎは楽に行えます

次に使ったのは福井県産浄教寺砥

よく反応し強い研磨力があります

粒度は#600程度で、砥目がよく揃っています
古来から刀剣研磨に使われてきたのがよく理解できます

中研ぎの最終段階として使った
先日紹介した
関東産と思われる青砥(参照下さい

文句なしの研ぎ上がりです

仕上砥ぎの中継ぎは
山口県産 杭名砥 黒蓮華巣板

たいへん研ぎ易く、心地よく研ぐことができます

地鉄にやや粗い傷が付きますが
鋼はピカリと光るほどに研ぎ上がります

この状態でも充分仕事で使えます
中継ぎとして文句なしです

最終仕上げは京都梅ヶ畑・木津山産の戸前を使いました
硬口ですが、木津山産独特の滑らかな研ぎ感で

硬い割にはよく反応します

地鉄の傷もほぼ消すことができます

これも文句なしの最終仕上砥です

刃先の拡大画像