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2023年1月15日日曜日

くずし字解読アプリ 刀の鍔


ウェブニュースで紹介されていた刀の鐔tsubaの文字について

とある崩し字解読アプリを使ったら一休宗純の
「わけのほる 麓の道はおほけれど おなじ高ねの 月をこそみれ」
という和歌が解読できた、とありました。このソフトは私も使ったことがありますが、平仮名あたりはほぼ正確ですが、漢字はあまり信用できず、今は使っていません。今回の記事の文字も肝心のところが曖昧で、一休宗純の歌にたどり着くよすがとはなりますが、なかなか難しいところだと感じます。

「わけのほる」はソフトでは「とる」(実際は「分登る」と思われます)、
「おなし」は「おいし」、
「高ね」は「雲い」と読まれています(実際は「雲間」と思われます)。

私としては
このように読みたいところです
「分登る 麓の道は おほけれど おなじ雲間の 月をこそみれ」

2016年8月27日土曜日

林原美術館所蔵 職人尽絵帖

21日に篠山刀剣会のツアーで訪れた
岡山県・林原美術館に展示されていた
職人尽絵帖を紹介しておきます

学芸員の方に訊ねたら
この所蔵品はまだ本にはなっていない
ということでした
喜多院海北友雪のように
原色版の豪華本にでもしてくれないかな・・
と淡い望みを抱いているところ

「烏帽子Eboshi師」か・・

檜の薄板を作り、それで「三方Sanpou」や
「曲げわっぱ」を作る「檜物師Himono-shi」

刀剣の「研ぎ師」

琵琶法師

「木仏師」

「数珠師」

「竈Kamado師」か・・

「鍛冶師」

2015年11月8日日曜日

犬の散歩 そして刀剣展 

これは数日前の写真ですが
この日は途中で
捨てられていたゴミを
どうしても持って帰りたい、と、おっしゃる・・

コーヒー飲料には
目がないのですね・・


篠山歴史美術館で開催中の
「百花繚乱の名刀展」
今月23日までとなりました
21日(土)の
「土曜 刀剣ガイダンス」は
私が担当します
午後1:30~2:30


ということで
今回の篠山刀剣会は
名刀展の鑑賞と
館内の裁判室で勉強会
この歴史美術館の建物は
もともとは地方裁判所で
木造の裁判所としては
日本最古だということです

篠山刀剣会終了後は
展示品の手入れが行われました

さて、ここからは
9月27日に神戸の湊川神社で
行われた刀剣展示会の様子
「大槻孝治氏を偲ぶ会」

(撮影:Kiyond 撮影許可分)

この写真は主催者側から
頂いたもの
非公開なので
自分が写ったものだけ
紹介しておきます

篠山刀剣会の案内はこちら

2015年4月20日月曜日

今日の作業 工房の様子 そして刀匠松田次泰氏の話

ニス塗りの合間に


次に製作する2台の特注ギターに取りかかりました
これはサウンドホールの縁飾り
YouTube動画参照下さい

響板のドイツ・スプルースを膠・ニカワで接ぎ合わせ


YouTube動画で見つけた興味深い内容の動画
刀匠 松田次泰氏の話

2015年4月14日火曜日

古い短刀を木工小刀として使う

焼け身で鈍(なまく)ら
になった古い短刀を
手に入れ仕事で使う
特殊小刀を作ってみました
形状は先般手に入れた
備中鍛冶の
中西佑水氏の小刀と
同様のものに形成しました

焼きが戻っていても
グラインダーにかけると
精緻で細かい炭素鋼系の
火花が飛びました
これまでの経験から
このような火花が飛ぶものは
小刀として優れているものが
多いので
期待が持てそうです

焼き入れをやり直した
状態(参照

やや低めの温度で
焼きを入れたので
焼戻しは160度ほどで
10分やってみました

焼戻し後、両側から同様の
角度で刃角度が30度ほど
になるように
研ぎ上げましたが

研いだ感じでは
かなり強靭な焼きが
入っている手応えが
ありました


柔らかめの材で
試し削りをやってみましたが
かなり切れが重いので

再度、約190度で20分ほど
焼戻しました
これでかなり切れが軽くなり
削り肌も美しくなりました

さっそく仕事で使ってみました

なかなか良い具合です
その後
硬い本黒檀の木口削りを
やってみましたが
木口削りの切れも
軽く行えました

本黒檀の木口削りを行った後の
刃先の拡大画像(約180倍)
刃先にほとんど
変化はありません
研ぎ上がりの状態も良く
かなり練れた粘りのある
鋼のような印象を受けます
このような刃先は
現代製の玉鋼では
あまり見られないような
気がします
この短刀は、時代は古くても
江戸時代の中頃と思われ
日本刀の出来としては
凡庸ですが
それでも刃物としてかなり
優れているのに
正直なところ
驚かされました・・

こちらは先に紹介した
佑水銘の小刀
鋼は青紙スーパーだと
いうことですが
切れはこちらの方が
さらに軽く
これにも驚かされた
次第であります・・

アールがきついところは
この幅の小刀では
やや削りづらいので
もう少し刃幅を
狭くしたいところです


2014年10月17日金曜日

水鉛 そして正倉院の木工品


兵庫県多可町にある
私設の石の博物館
「松内ミネラルコレクション」
青いシャツの御方が
館長の松内茂氏


個人のコレクションとは
思えない充実した内容に
驚きました
以下、ごく一部では
ありますが、個人的に
興味を惹かれたものを
紹介します


これは燐灰石

そして球顆流紋岩

この模様の美しさにしばし
見とれてしまいました

私が特に注目したのは
輝水鉛鉱
(モリブデナイトMoS2)で
このMoS2から硫黄分(S2)を
取り除いたものが
モリブデン(Mo)です
モリブデンは微量を
鋼に添加することにより
強靭な鋼を得ることが
できます(参照
このことは以前ブログでも
少し述べましたが(参照
この輝水鉛鉱が

兵庫県の出石いずし町や

丹波市山南さんなん

そして宍粟しそう市でも
採掘されていたのです

木工の世界では日本で
台鉋が使われ始めたのは
室町時代中頃から
ということになって
いるようですが(参照
これは歴史資料として
台鉋が確認されている
ということが
前提となっています
ところが、正倉院に
所蔵されている
木工品や楽器を見ると
参照
台鉋を使わなければ
作ることが不可能と
思われるものが
多く確認されるのです
参照

これはBryan Sentence
という研究家の叙述を
日本語に訳され
出版されたものですが
この中で、鉋は
古代ギリシャで発明され
ローマ時代に現代のものと
よく似た形に改良されたと
考えられている
としています

また、それは
かなり早い段階に
日本にもたらされたことは
充分にあり得ることだと
思われるのです

以下、正倉院の木工品を
少し紹介しておきます








これらの画像は紫紅社から
出版されている
から部分転載したものです
これらは状況証拠とも言え
木材としては加工が困難な
紫檀や黒檀など
これらを加工する刃物(鋼)
にはかなりの強靭さが必要で
特に台鉋のように刃先で
材料の表面を擦るものは
炭素鋼の刃ではかなり
困難を伴います
そういうことなので
現在ではハイス鋼などの
特殊鋼の刃を持った
鉋を使いますが
このハイス鋼には
先に紹介したモリブデンが
炭素鋼に添加されている
のですですから
正倉院に所蔵されている
木工品が作られた時代
(8世紀頃)の刃物にも
現在の特殊鋼のような
合金鋼があった可能性は
全くなかったとは
言えないのでは
ないでしょうか

鉄の歴史は5000年ほどはある
とされていますが(参照
その長い歴史の中で合金鋼が
作られるようになったのが
ここ100年ほどというのは考え難いと思うのです。
たとえば、日本刀に
関して言えば
日本刀は鎌倉時代に
最高レベルに達し
その後、現在に至るまで
その域に達することは
出来ていないとされています
このように
時代が古い方が技術が
優れていることもあるので
鋼に関してもその
可能性は充分にあるような
気がするのです